teacup. [ 掲示板 ] [ 掲示板作成 ] [ 有料掲示板 ] [ ブログ ]

 投稿者
  題名
  内容 入力補助画像・ファイル<IMG> youtubeの<IFRAME>タグが利用可能です。(詳細)
    
 URL
[ ケータイで使う ] [ BBSティッカー ] [ 書込み通知 ] [ 検索 ]


宝石達の秘話10 最終話

 投稿者:お天道様  投稿日:2007年 9月16日(日)11時48分30秒
返信・引用
  長い間、長い時、長い時間。ゆっくりと時をかけて、眠ろう。傷付いた心を癒す為に。



あれから二十年。王明は孫に恵まれ、彼の伝説の冒険者と歌われるようになったシルク・ド
リームも引退を考え始めた頃。宝石達はゆっくりと目覚めた。
宝石は生きない。よって死なない。何千という月日を生きた宝石にとって、そしてこれから
も生き続ける宝石達にとって、二十年はそう遠くない過去だ。

昨日のように思い出す事ができる、あの悲劇。そしてあの奇跡。
けじめをつける事が、やっとできた。二十年かけて。

宝石達はもう、悲しまないし苦しまない。あの悲劇以上に、悲しい事など存在しない。
宝石達は成長したのだ。後ろではなく、前を向く事。今の彼らには、それができる。
だから彼らは、一人の女の子がやってきた時も、大して驚かなかった。

女の子は一人だった。好奇心を隠しきれないとでもいうように、その目は輝いている。
その顔は少し、昔会った王明という男に似ている気がした。

女の子が蓋に手を掛けた時、初めて宝石達は慌てた。開けてはいけない。開けたらこの世界
は闇に染まってしまう。
「開けるな!」
誰かが叫んだ。女の子は急な事に驚いて、思わず箱を開けてしまう。

        あっ   ー

叫んだのは、己か。それとも女の子か。

力が溢れ出す。誰にも止められない。あっというまに世界に届いて、辺りを埋め尽くす。
化け物が、化け物が…みにくくて恐ろしいそれが、叫んだ男を殺した。
「王明!?」
そこで初めて、宝石達は彼だと知る。

宝石達は、「希望」ただ一人を残して飛び散った。溢れる気に乗って。
「兄さぁんっ!」
弟の明光が叫んでいる。兄の明光は手を伸ばしたが、結局二人は離ればなれになった。
他の宝石達も散っていった。誰がどこへ行ったのか、未だ分からない。

でも一つだけ分かる事がある。それは直感でしかないけれど。
また会える、と。
あのパンドラとシルクロードも、最後には会えたから。
だからまた、会えるんじゃないかなって。
 
 

宝石達の秘話9

 投稿者:お天道様  投稿日:2007年 9月11日(火)21時02分56秒
返信・引用
  一ヶ月位経っただろうか。俺達は傷付いた心を、十分休ませる事ができた。
やっぱり少し衝撃が大きいけれど、俺達宝石はやわじゃない。今更悲しんだって無駄だって
事を知っている。
ただ残念なのは、パンドラにシルクロードの遺言を伝えられないという事。
「好きだったよ、パンドラ」
それだけ。たった二言。だけれど、どんな言葉より重くて美しい言葉。

「どうにか、なんねぇかな」
『情熱』が言った。外に出られないのに? と。
『希望』が言った。外に出たら、大いなる悲しみを増やすだけ と。

「っ!分かってる…」
でも、どうにかして伝えたい。
でも、どうにもならない。
心の葛藤が、ドロドロモヤモヤと立ち上る。どうにかしたい、どうしようもならない。
愛した男の最後の言葉を、愛された女に伝えたい。たった二言、たった一秒。

「兄さん」
弟が叫んだ。誰かが近付いてくる。この洞窟に、足音をならして走ってくる。
それは、パンドラだった。
                         、、、、、、、
巫女の衣装を身にまとわず、巫女の飾りを身につけず。一人の女として、彼女はやってきた。
「…シルクロード…」              、、、、、、、、
流す涙は拭かぬまま、漏らす嗚咽を堪えずに。彼女は愛された者として、ここに居る。

「大神ゼウスの巫女の魂と引き替えに、この箱に希望が残りますように」
彼女は呪わない、親友を殺した箱を。
彼女は恨まない、幼馴染みを消した箱を。
彼女は希望を残す。愛した男を、亡くしてしまった箱に。

パンドラは魂と引き替えに、箱に希望を残した。この箱が開かれても、世界が終わらない
ように。

「…シルクロード…、最後…に、一言…言いたいの。聞い、て…くれる?」
パンドラの魂は、尽きようとしている。
「私…私ね、貴方の事…好きだった」
こんな時にずるいかなと、彼女は笑った。笑って逝った。
そして、彼女は聞いた。愛した男の声を。

「俺も、お前に言いたかったんだ。好きだって」

夢か現か幻か。でも、パンドラにとってそんな事は取るに足らないものだった。
死ぬ前に、一度。愛した男に会えたから。
だからパンドラは、笑って逝けた。
 

宝石達の秘話8

 投稿者:お天道様  投稿日:2007年 8月19日(日)11時15分36秒
返信・引用
  あれは、呪われた耳飾り。
自分の命を守る代わりに、一番大切な人の命を奪うという。

『いやあああああ!』
パンドラの目の前が、真っ赤に染まった。


「化け物は…これで心配ないのぅ」
尊厳のババァがとんでもない事を平然と言う。
「何、言ってやがる!人一人死んだんだぞ!他でもない俺らのせいでな!」
俺達が殺したも、当然だった。

「ゼウスもゼウスだ!パンドラに、よりにもよってアレを渡すなんて…」
大切なものを失う位だったら、いっそ自分が死んでしまいたいと思う事もある。

「ねぇ、兄さん」
弟が急に話し掛けてきた。優しい弟にとって、一連の出来事はどう瞳に映ったのだろう。
「シルクロードさんは、あれで良かったんだよ」
「…お前…」
「僕には分かるんだ。シルクロードさんは、恨んでない。悲しんでないよ。良かったって。
パンドラが死ぬんだったら、これで良かったって。そう言ってるんだ」
「…」
「好きだったよ、パンドラって…言いたかったって…!」
弟は泣いた。宝石だから、涙なんて無いけど。泣いていた。俺には分かる。たぶん他の宝石
達も分かってる。弟は泣いてる。笑ったまま。

蓋は閉じられた。もう力が外に流れる心配はない。

そして俺達は、外に出る事はない。


でもいいんだ。また誰かを失う位なら。外に出れなくていいんだ。
 

宝石達の秘話7

 投稿者:お天道様  投稿日:2007年 8月12日(日)08時45分43秒
返信・引用
  「…まずい事になったよのぅ」
人間だ。一人はパンドラで、もう一人はパンドラと一緒に旅してきた男の子。
後二人知らない人間が居る。短髪のやたら美人な二十代と、体格のいい三十代。
「どうしよう…こっちに近付いてしまったら…化け物が!」
宝石達の声は、外までは伝わらないらしい。幾ら騒いだところで気付かれたりしない。

パンドラと女が話し合っている。残りの男二人は思案気な顔だ。
「来るな!」
兄の「明光」は叫んだ。パンドラは聞こえていないのか、近付いてくる。
「来ちゃ駄目なんだよパンドラ!お前死ぬぞ!ちくしょう…何で誰も止めないんだよ!」
騒いで、喚いて、暴れて。でもパンドラはやってくる。

突然、男の子が叫んだ。必死になってパンドラを引き留めようとする。
どうやらこの気配に気付いたらしい。
でもパンドラには通じない。笑って近付いてくる。
駄目だ駄目だ駄目だ。来るな!


刹那、パンドラの耳飾りが揺れた。


まるでそれが合図であったかのように、男の子が踏み出す。
化け物が、その姿を現した。
耳飾りからは負の力が流れている。間違いない。ゼウスの力だ。

『いやああああああ!』

パンドラが叫ぶ。

「何で…どうして、ゼウス様」
何であの娘に、あの耳飾りを渡したのですか?
 

宝石達の秘話6

 投稿者:お天道様  投稿日:2007年 8月 5日(日)11時24分24秒
返信・引用
  「兄さん!兄さん!」
弟の「明光」が、突然縋(すが)り付いてきた。
「おわっ」
昼寝をしていた兄の「明光」は突然の事に体制を崩す。
「どうしたんだよ…ったく」

弟だけではない。心なしか宝石達が騒がしいのだ。「尊厳」に至ってはすっかり黙り込んで
いる。
「兄さん、感じない?」
弟が箱の側面をコツコツと叩いた。その位置は丁度開き掛けた蓋の縁の、真裏に当たる部分
である。

そこから、禍々しい気が伝わってくるのだ。
「これは…そうか!」
開いた蓋の隙間から、自分達の負の力が外に流れてしまったのだ。
そして、何かとんでもなく恐ろしい怪物を作り上げてしまったらしい。

早くこの蓋を閉めなければ、また負の力が流れて怪物を作り上げてしまう。
もしくは、この怪物がとんでもない力を蓄えてしまうのだ。
でも、中から蓋を触るのは危険な賭けだ。蓋が開いたらそれどころの騒ぎじゃない。
外からの確実な手がほしいのだ。人間の、器用な手。
でもここに人間が来たら…恐らく後ろの化け物が動く。

「ちっくしょ~、どうすれば」

たった少しの隙間から流れた力で、こんな恐ろしいものが生まれてしまう。
では、箱が完全に開いたら?
この世界はどうなってしまうのだろう。

宝石達が外で幸せに生きる道なんて、ないのかもしれない。
 

宝石達の秘話5

 投稿者:お天道様  投稿日:2007年 7月29日(日)10時56分34秒
返信・引用
  「兄さん、何か変だ」
真っ暗だった箱の中に、一条の光が見える。箱が開き掛けているのだ。
「ねぇ兄さん。外が見えるよ!」
光が差していると言っても、外は箱の中より僅かに明るいだけのようだ。
外を覗くと、薄暗くて狭い部屋が見えるだけ。

「ねぇ兄さん。外に出たいな。いい?」
弟の「明光」は好奇心を隠しきれずに身を乗り出す。その指が箱の蓋に掛かる前に、「希望」が「光壁」をつくって防いだ。
「…何で止めるの?ここは狭いし、真っ暗だよ?あの部屋の方がまだマシだと思わない?」
キョトンとしてる弟の明光に、諭すように「尊厳」が言った。

「それはできぬ」
「何で?」
「我らの力は、下界には悪影響なのじゃ。もともとゼウスの力は負のものが多く含まれておる。その力をたっぷり注ぎ込まれて生まれた我らは…そうよのぅ、人間にとって『邪』というわけじゃ」
平安の世の姫みたいに、その口調で穏やかに女の声は語った。

「御主、人間を苦しめたいか?」
「…ううん。そんなの嫌」
「そう、それでこそ誇り高き宝石よ」
「じゃあさ、蓋を閉めよう。こうしている間にも僕らの力が流れて大変な事になっちゃう」
「それは止めておけ。もしも間違って蓋が開いてしまったら、それこそ大惨事じゃ」

弟の「明光」は伸ばし掛けた手を引っ込めた。
「じゃあ、どうする?」
「いずれ人間がどうにかする。それまで待てば良い」
 

シルク・ド・リームの決意!

 投稿者:謎の人  投稿日:2007年 7月29日(日)02時49分41秒
返信・引用
  「さあ新たな旅立ちヨ!」
新しい武器スタッフを片手に、新たな冒険に決意をあらわにした…
まだ見ぬ新しい土地を目指すシルク・ド・リームであった!
 

宝石達の秘話4

 投稿者:お天道様  投稿日:2007年 7月22日(日)11時09分20秒
返信・引用
  「何か…落ち着かないね、兄さん。これが外なの?」
無限に広がっていた空間は、約1、2m四方に区切られていた。
真白で臭いもない空間は、茶色くて木の臭いのする箱になった。
そしてがたがたと揺れる。本来ならストレスなんてない宝石達も、ここ2日間でぐっと落ち込んだ。

「違う…外はもっと広いんだ。あの空間よりかは狭いけどな…」
「でも、ここは狭いよ」
「当たり前じゃ。ここは外の中でも極々限られた空間。ここは外の一部ではあるが、
外と比べるのはお門違いよのぉ」
「良く分からないよ」
   、
初めて外を見た時、それはそれは興奮したものだ。
眩しい光、暗い光が混ざってたくさんの光が見える。ゼウスはそれを色だと教えてくれた。
そして、上に行くと下に落ちるのだ。ゼウスは上を天、下を地と教えてくれた。
外に住む者はみな地を歩いて暮らすらしい。天に行けるのは翼を持つ者だけ。
そして少し歩くと何かにぶつかる。最初は何の仕掛けかとびくびくしたものだ。
どうやら、隔てる物の奥が見えるところしか、歩いていけないらしい。
じゃないと壁というものにぶつかるのだ。

でも、この箱に入れられてからはあの興奮もすっかり収まった。
「ねぇ、いつになったら僕らは外に出られるの?」
「さぁな。帰ったらゼウスの野郎に文句の一つでも言いまくってやる」
耳を澄ませば、女の子…パンドラと、男の子の声が聞こえる。
 

宝石達の秘話3

 投稿者:お天道様  投稿日:2007年 7月19日(木)16時56分2秒
返信・引用
  「何だ…?」
突然の違和感に、安らかな眠りを抱いていた宝石達が起き出す。
「…ったく、ゼウスか?起床時間までまだまだ時間があるんだけどな」
空間に亀裂が入って、思わず目を瞑ってしまう程の強烈な光が差し込んできた。
宝石達は我が父に口々と挨拶をする。

「うむ、知らさねばならん事がある」
「ほう?それはまた急な話じゃ。どれ、我らの出番かのぅ」
「いいや、違う」
「ゼウス、てめぇな。用もなしに起こしたんならただじゃおかねーぞ」
「…兄さん」

相変わらずの遣り取りに、ゼウスは声を上げて笑った。
『…どうされましたか、ゼウス様』
ゼウスの声を聞きつけたのか、ゼウスが最もお気に入りとする巫女がやってきた。
「そうだ、お前にも聞いてほしい。これからの事を」
『なんなりと、ゼウス様』

「良いか、我が宝石達よ。お前らはこれから下界に降りてもらう。近々謀反が起きるとの
噂でな。この城は今身方と分かるものが非常に少ない。そこでだ、しばらくの間下界の
何処か(いずこか)に身を隠してほしいのだ」
「…な、巫山戯(ふざけ)んじゃねぇ!」
「もう決めた事だ。そこでだ、お前にこの箱を託したい」

ゼウスは宝石達を指さして言った。
『承知致しました、ゼウス様』
「よし、お前に名をくれてやろう。お前は今日からパンドラだ」
『ありがたき幸せ』
パンドラは一礼して去った。

「ほぅ?正気か、ゼウスよ。巫女とは言え、人間の生まれの者を使わすとはな。
相当気に入ったか」
「ゼウス様、僕達反対するわけじゃないんです。でももし何か起こったら…!」
「弟の言う通りだ。てめぇの目は狂ったらしいな」
「すまん。でも仕方ない。謀反の頭領は最高仕官なのだ」
 

にらみ合い…

 投稿者:謎の人  投稿日:2007年 7月19日(木)02時23分3秒
返信・引用
  兄弟通し、仲が悪そうですネ~

おっと!!こちらでも、にらみ合いが発生しています
いわゆる『ガン飛ばし』ですかな?…怖わ~(^^ゞ
 

レンタル掲示板
/22